おはようございます。
羽島市議会議員の河﨑周平です。
今回は2024年9月定例会における羽島市議会一般質問について、質問の内容と意図についてお話しさせていただきます。
羽島市をより良い街にするための一歩として是非ともご一読ください。
標題1:多様な価値観が存在する時代における教育について
多様な考え方に触れる教育について
昨今、多様な価値観が共存する社会を生きる子どもたちに求められる教育の在り方が議論されています。令和6年11月に行われた「羽島市新しい時代の学区構想検討委員会」の答申では、「子どもたちが多様な他者と協働できる活動を推進するため、体験的な活動やカリキュラムマネジメントにより探究的な活動の充実を図る」必要性が示されました。
学校教育は同世代との関わりが中心で、閉鎖的な環境に陥りやすい一方、令和3年の文部科学省答申「令和の日本型学校教育」では、次のような指針が示されています。
「一人ひとりが自分の良さや可能性を認識し、他者を価値ある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら、持続可能な社会を創り出せる資質・能力を育むことが必要。」
これを受け、従来の学校環境を刷新し、協働的かつ探究的な学びを通じて、子どもたちが多様な他者と連携しながら持続可能な社会を築く力を養うことが重要だと考えます。また、個々の特性を生かしながら、集団の中で孤立した学びに陥らない教育の実現が求められています。
このような時代背景の中、「こどもたちが多様な他者と協働できる活動を推進するため、体験的な活動やカリキュラムマネジメントにより探求的な活動の充実を図る。」という「羽島市新しい時代の学区構想検討委員会」の答申が出たことは、羽島市の教育においても今後の課題として考えられているのだと感じております。そこでお尋ねします。
今回の「羽島市新しい時代の学区構想検討委員会」の答申に対して、教育委員会としてどのような見解をお持ちでしょうか。また、この答申を踏まえた具体的な施策について、どのように取り組むか予定などあればお聞かせください。
執行部からの回答
新しい時代の学校構想検討委員会における審議では、五感を駆使する体験的な活動や他者とのかかわりを大切にした活動は、目標や将来の夢をもつことやより良い人間関係作りにつながるという意見をいただきました。
加えて、同委員会で実施したアンケート結果からは、多くの保護者や教育関係者が「自然や本物に触れながら学ぶ体験的な活動が必要である」と考えていることもわかりました。
また、学校訪問時における児童生徒との懇談では、異年齢集団での遊びや地域での活動を求める意見も多く聞かれているところです。
ボランティア活動や事業所での職場体験学習、伝統文化を学ぶ学習といった体験的な活動、また、現在計画している休日の文化部活動における他校区の生徒や異なる世代と共同して行う活動や、SDGsなどの生活や地域の諸課題について自ら調査・行動し、自分の考えを発信していくような探求的な活動を通じて、多様な他者と協働して柔軟に問題を解決する資質・能力の育成を図ることができるものと思われます。今後、検討委員会の答申を踏まえ、さらにこうした活動の工夫・開発や環境づくりについて、各校の学校運営協議会や関係団体と連携・協議してまいります。
河崎私見:今後の展望
多様な価値観が存在する時代における教育の考え方について、他者との人間関係作りや異年齢との交流、休日部活動の地域移行による多校区の子達との触れ合いなどを通じて個々の成長に繋げることに繋がると私も思います。
私が今回の質問でお伝えしたかった趣旨は、多様な価値観を共有する教育の先に、「多世代共創社会」や「地域共創社会」の実現があると考えている点です。これらの社会の形成は、地域全体の幸福度を向上させ、持続可能な未来社会の基盤となると考えております。
多世代共創社会の推進は、特に子どもたちにとって多くのメリットをもたらすと思います。
まず、世代を超えた交流を通じて、子どもたちは高齢者から豊かな知識や経験を直接学ぶ機会を得られます。例えば、高齢者が学校の講師やボランティアとして参加することで、子どもたちは実体験に基づいた学びを深めることができます。このような交流は、歴史やキャリア教育の分野でも大きな効果を発揮します。
また、世代間交流により、子どもたちは多様性を理解し、共感力やコミュニケーション能力を高めることができます。高齢者と触れ合う中で、異なる価値観や生き方を学び、自身の視野を広げることが期待されます。これらは、未来の社会を担う子どもたちにとって、重要な力となるでしょう。
さらに、地域全体へのメリットとしては、孤立の防止やコミュニティ形成が挙げられます。
高齢者にとっては社会参加の機会となり、生涯現役を目指す意識を育むことができます。一方で、若い世代にとっては学びと実践の場が提供され、リーダーシップや社会性を育成する機会となります。このような相互作用が、持続可能な地域社会の形成に寄与するのです。
また、学校と地域の連携を深める地域連携型教育プログラムを強化することも、多世代共創社会の大きな利点です。高齢者がメンターとして子どもたちを支援することで、孤立感の軽減や社会的責任感の育成が期待されます。
最後に、多世代共創は、心理的安全性と安心感のある地域環境をつくり出す一助となります。
世代を超えた交流が活発になることで、地域全体が一つの家族のようなつながりを持つ社会を実現できると確信しています。こうした取り組みを通じて、すべての世代が輝ける地域づくりを進めてまいります。
多世代共創社会・地域共創社会は、世代を超えた相互支援と学びを通じて、地域全体の幸福度を高める仕組みです。学校教育と組み合わせることで、子どもたちに多様な学びと交流の場を提供し、地域コミュニティの創出や孤立化の防止につながると考えます。
私も今後さらに調査・研究を進め、この理念に基づく具体的な提案をさせていただけるよう努めます。引き続き、ご協力とご指導をお願い申し上げます。
標題2:行政のDX化における子育て世帯への負担軽減について
①行政事務におけるDX化の今年度の方針、及び進捗状況は
議会初日の松井市長の所信表明では、「公共サービスを提供するサービスプロバイダーから、まちづくりに関わる事業主体を調整するプラットフォームビルダーへ転換し、地域課題に対応することが求められる」と述べられました。この転換を実現するためには、行政におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が前提となると考えます。
今年度の羽島市役所の方針にもDX化が掲げられていますが、以下の点についてお尋ねいたします。
羽島市が掲げるDX化の具体的な方針とはどのような内容でしょうか。また、現在の進捗状況についてお聞かせください。
執行部の回答
- デジタル技術やデータを活用、住民の利便性を向上させるとともに、Ai等の活用により業務効率化を図り、行政サービスの質の更なる向上に繋げる
- 令和7年1月より岐阜県公共施設予約サービスの運用開始予定。岐阜県及び県内8市町が共同で調達、3施設を拡充、公共施設の横断的な予約や空き状況の確認が可能。スポーツ施設及び防災ステーションにおいてはオンライン決済を導入。
- 令和7年2月に庁内コンビニ交付端末による証明書発行サービスの運用開始。非対面での内容証明書発行を実現、発行窓口の混雑緩和、マイナンバーカードの利便性を実感する機会の創出、コンビニ交付制度の普及を後押し。
- 教育分野では、複数人でのコミュニケーションや情報共有を円滑に進めることができるというビジネスチャットを活用、教育委員会と各学校での業務の効率化を図る。
- 令和6年4月より文章作成や企画立案などに文章生成AIツールを活用し、職員の作業効率が向上。岐阜連携都市圏連携事業として、Aiによる衛生画像解析技術を用いた漏水リスク調査を実施。今後の音調調査や管路更新計画に活用する計画。
河崎私見
DX化において、重要なこととして
今回、松井市長の所信表明でもありました「公共サービスを提供するサービスプロバイダーから、まちづくりに関わる事業主体を調整するプラットフォームビルダーへ転換」においては、今までの情報発信において受動的であったことを能動的にしていく。そして行政、市民、民間といったそれぞれの立場の方と一緒になり地域課題を解決していくことでは無いかと私は解釈しております。
是非とも民間の方の知見を活かし、より良い行政サービスをご提供いただければと思います。
②学童における申請に関してアナログ仕様から見えるDX化の考えは?
先日、とある保護者の方からご意見をいただきました。その内容は、「羽島市はDX化を推進すると聞いているが、学童の申請は手書きで行われており、言っていることとやっていることに齟齬が生じているのではないか」というものでした。
私自身も確認したところ、学童申請をはじめとする一部の行政手続きがアナログな仕様のままであり、改善の余地があると感じました。行政におけるDX化の推進は業務効率を上げることはもちろんのこと、子育てで多忙な保護者の負担を軽減し、市民満足度を向上させる重要な取り組みであると考えております。
そこでお尋ねいたします。
学童申請など、アナログ仕様が残る現状についてどのようにお考えでしょうか。また、子育て世代への負担軽減を目的としたDX化推進に関する今後の具体的な施策についてお聞かせいただけますと幸いです。
執行部の回答
- 先ほど総務部長の答弁にもありましたように、業務の効率化の観点から、放課後児童教室の各種手続きにおいても、DX化は必要であると考えています。
- 現在までにも、各教室へのパソコン配置や、支援員が手書きしていた日誌や出勤簿等のデータ化など、内部事務処理におけるDX化は進めているところでございます。
- しかしながら議員ご質問のとおり、現在、入室申請については、書面によるアナログ申請のみで、DX化には至っていない状況でございます。
- 業務の効率化とともに利用者の利便性向上に向けて、令和7年度からは、入室手続きに電子申請システムを活用し、スマートフォンやパソコンからの申請もできるように検討したいと考えています。
河崎私見
保護者の皆さまからもご要望のありました学童申請について、来年度より電子申請システムを活用したオンライン申請に変更されるとのこと。
これにより、保護者の皆さまの手間が軽減されることは非常に喜ばしいことだと思います。
しかし、DX化の目指すべき本質は、単なる業務効率化にとどまらず、市民の 「Well-being」 の向上にあります。行政が 事業実施プラットフォームビルダー として地域課題を解決するには、企業の参画や支援、市民の「自分事」としての積極的な行政参加が必要不可欠です。
その中でも特に重要となるのが デザイン思考 です。これは、施策やサービスを利用する「ユーザー目線」で考え抜くアプローチです。デザインの良し悪しは、それを使う人にとって「使いやすいか」「快適か」によって評価されます。行政においても、政策の設計段階からこの視点を取り入れることが重要です。
行政側は時に自分たちの立場からポジショントークになってしまうことがあります。しかし、それでは市民の真のニーズを捉えることはできません。一度フラットな視点で社会や市民を見つめ直し、具体的な「ユーザー(市民)」の状況や課題を深く理解する必要があります。
こうした姿勢をもって、行政が オープンガバナンス を推進し、市民とともにこれまで目が届かなかった課題へ挑むことを期待しています。特にDX化の取り組みでは、デザイン思考を基盤に、市民一人ひとりの使いやすさや負担軽減を最優先に考えた政策を展開いただければと思います。
標題3:保育園・認定こども園の入園における対応について
①入園案内を分かりやすくするための運用方法に対する考えは
先日、保育園・認定こども園の入園申込を行いましたが、その手続きの流れに非常に難しさを感じました。行政手続きに不慣れな立場からすると、1号認定・2号認定といった専門用語や、「新2号認定」などの区分の複雑さに戸惑い、同じように困難を感じている保護者も多いのではないかと心配しております。
諸条件を確認した上で申請書を作成する必要がありますが、多くの保護者が手探りで対応しているのが現状だと感じます。私自身、職員の方々のご丁寧なサポートのおかげで申請を完了できましたが、案内の分かりやすさについては、さらに改善が望まれるのではないかと思います。
このような課題を解決するためには、DX化を活用した取り組みが有効だと考えます。例えば、子どもの生年月日や保護者の就労条件、介護などの特殊事情を入力することで、適切な認定区分や必要手続きがフローチャート形式でわかる仕組み。などを導入することで、手続きの分かりやすさが向上するのではと考えております。
今回お話しさせて頂いております入園案内に関しては、該当する保護者は0~3歳の子どもを抱えている世帯となり、目が離せない育児期間中に情報収集や申請を行うことは大変な負担です。隙間時間に効率よく必要な情報を調べられる仕組みを整えることは、子育てしやすい環境づくりの第一歩だと考えます。
保育園や幼稚園、学校などに子供が属している場合はそのネットワークから情報を得ることが出来ますが、それ以前のどこにも属していない家庭や、他地域から引っ越してきた家庭では情報を得にくく、孤立してしまうケースが想定されます。こうしたご家庭にも適切に情報を届ける仕組みを整備し、市民全員が安心して生活できる環境を構築することが重要です。
そこでお尋ねします。
保育園・認定こども園の入園手続きを分かりやすくするための運用方法について、どのようにお考えでしょうか。また、DX化を活用した案内や手続きの改善について、具体策があればご教示いただけますでしょうか。
執行部の回答
- 現在、入園に関する制度や手続きについては、羽島市ホームページや入園案内用チラシ等において、周知に努めております。
- 保護者の方にわかりやすい仕組みづくりに取り組むことは、継続的な課題であると認識しております。
- 今回、ご提案いただきましたフローチャート化も含めて、行政から情報発信や保護者の方へアプローチをどのように図っていくかについては検討してまいります。
河崎私見
先日、私自身もこども園の入園申請を行いました。その際、「分かったような、分からないような」という感覚を抱きながら、職員の方に教えていただきながらなんとか申請書を提出することができました。この経験から、申請手続きがもっと簡易化され、利用者が受けられる行政サービスの内容を分かりやすく提示できる仕組みがあれば、より安心して利用できるのではないかと感じました。
例えば、「現在の状況で保育園やこども園に子どもを預けた場合、どれくらいの費用がかかるのか」というシミュレーションが簡単に行える仕組みがあれば、保護者にとって大変助かるものです。こうした機能は、民間サービスであればネット検索で簡単に利用できるケースが多く見られます。しかし、行政サービスとなると、専門的な言葉や書面を理解することが求められ、結果として市民にとって分かりにくい仕様となっているのが現状です。
DX化を推進することは、行政内部の事務効率化だけでなく、行政サービスを利用する市民にとっても大きなメリットをもたらします。市民目線での分かりやすさや、使いやすさを最優先に考えた仕組みづくりを行うことで、行政への信頼と満足度が向上することが期待されます。
今後、こうした取り組みをさらに前向きに進めていただき、市民がより安心して行政サービスを利用できる環境を整えていただければと存じます。特に子育て世代への支援においては、このような分かりやすい仕組みが不可欠だと考えています。
②現在の多様な働き方を鑑みた保育園・認定こども園の認定対応は?
現在の多様な働き方を考慮した保育園および認定こども園の認定に関する対応についてお伺いいたします。
満3歳から5歳までの教育・保育認定には、「1号認定」「新2号認定」「2号認定」の3つの区分があります。
1号認定は、幼稚園(施設型給付園)や認定こども園(幼稚園枠)を利用する場合に受ける認定です。条件は特に問われず、保育を必要とする理由がない家庭でも利用を希望すれば認定を受けられます。
2号認定および新2号認定は、認可保育園や認定こども園(保育園枠)を利用する際に必要な認定です。これらは保護者が「保育が必要な理由」に該当する場合にのみ認定されます。たとえば、保護者の就労が64時間以上ある場合などが該当し、その証明として就労証明書の提出が求められます。
しかし、近年は働き方が多様化し、企業に属さずフリーランスや個人事業主として働く人も増加しています。このような働き方の方々は就労証明書の発行が難しい場合が多く、2号認定の申請においてのハードルになってしまっているのでは無いかと心配をしているところであります。
そこで以下についてお伺いします。
多様な働き方をする方々が2号認定を受ける際の就労証明の困難さに対し、どのような審査対応を行っていますか。また、将来的にこのような課題を解消するための施策や改善の方向性があればお聞かせください。
執行部の回答
- 現在は就業形態が多様化しており、組織に属する形での就労でない場合も珍しくなく、就労状況を一概に証明することが困難なケースがあることは承知しております。
- その一方で、保育を必要とする児童の要件については法令上の規定により、就労証明書等の提出によって、要件を満たすかどうかを確認するという仕組みになっている現状もあるところです。
- 今後につきましても、法令を遵守しながら認定事務を進めていくことに変わりはございませんが、就労証明書の提出の有無のみを理由として、真に保育が必要な児童に対して保育の提供が行われないことが無いように、個々のケースに応じたきめ細やかな対応を行ってまいりたいと考えております。
市長からのご意見
貴重なご提言を賜りましたので若干付言を申し上げますが、やはり一番大切なのは、審議会等でさまざまな手続き、いわゆるDX化等についてお尋ねしながら、いわゆる担当部署におきましては、そのような簡素化に向けまして努力をいたしておりますが、やはり議員のお話しを聞いておりますと、そのドラフトを作った段階でモニタリングをもう少し綿密に行いながら、それぞれの利用者ごとでの何が足りないか、何に不安を覚えたかと、そのような関係も踏まえながら、今後より一層DXの推進に努めてまいりたいと存じますので、ご指導よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。
河崎私見
私も子育て世代としてちょうど子供の入園手続きを進めている時期となります。その中で同じ年齢のお子さんを持つ保護者の方から様々な相談をいただくことがあります。それは日々の悩みはもちろんですが、今回の質問にもさせていただきました入園といったステージが変わる際の手続きなどを心配される声が多いことも事実です。
確かに子を持つ親としてはステージが変わる際に不手際があり、例えば入園が出来ない。といったことを不安視することはもちろんです。そういった市民の皆さまが「不安」と感じることを減らすことは市民満足に繋がる大事なことであると思います。
今回、DX化などを質問させていただいておりますが、IT技術を活用し市民の皆さまはもちろん、行政側においても負担を減らし、一つ一つを丁寧に対応することで市民満足度を上げていただければと思います。
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