【議員研修報告】羽島市竹鼻のテキスタイルマテリアルセンターを視察

活動報告

テキスタイルマテリアルセンター視察レポート

おはようございます。
市議会議員の河崎です。
今回は市議会議員として羽島市にあるテキスタイルマテリアルセンターを視察させていただきました。
こちらの視察についてご報告させていただきます。

視察日時: 2025年2月4日(火)10:00~12:30
視察場所: テキスタイル・マテリアルセンター(岐阜県羽島市)
講師:岐阜県毛織工業協同組合 専務理事 山田 幸士 様
   株式会社イワゼン 代表取締役 岩田 善之 様

テキスタイルマテリアルセンターの歴史と役割

岐阜県羽島市を拠点とするテキスタイルマテリアルセンターは、世界的にも希少な繊維産業の研究・展示施設です。
繊維産業の歴史は奈良時代から続き、当初は綿織物が主流でしたが、明治時代に欧州からの影響を受けて毛織物(ウール)が導入されました。

1891年の濃尾大地震により綿花栽培が壊滅的な被害を受けたことを契機に、軍服需要の高まりとともに毛織物の生産が定着し、尾州地域は世界三大毛織物生産地の一つへと発展しました。

現在、日本の毛織技術は世界的にみても高い水準にあり、西陣織など伝統的な織物文化を背景に、分業制による高品質な製品作りが特徴です。
しかし、近年の社会情勢において分業制が納期の面で不利に働く課題も浮上しています。

その中で、テキスタイルマテリアルセンターは、若手デザイナーの育成を支援し、フランスのファッション文化に敬意を払いながらも、日本独自の繊維産業の発展を後押しする重要な施設となっています。

テキスタイルマテリアルセンターの役割と機能

設立: 2008年

主な取り組み:

  • 全国の生地サンプルをインデックス化し、デザイナーやメーカーが適切な生地を迅速に見つけられる仕組みを構築
  • 10万点以上の素材サンプルを常時展示し、毎年3,000点以上の最新素材が追加
  • 日本全国のテキスタイルメーカーとアパレルメーカーの橋渡し役を担う
  • 素材の専門家によるオリジナル素材開発の無料相談

このような施設は世界的にも珍しく、日本では羽島市にしか存在しません。
そのため、国内外のデザイナーやファッション関係者が訪れ、最新素材を学ぶ場となっています。

また、ウールの洗浄に適した超軟水の木曽川の水質や、シドニーから四日市へ輸入された高品質なウールの流通など、尾州地域が毛織物産業に適した環境にあったことも発展の要因となっているととのことでした。

尾州産地の強みと未来への展望

岐阜県羽島市および愛知県尾張西部地域は、日本の毛織物生産の中心地であり、国内生産の約8割を占めています。
尾州で生産される生地は、欧米の有名ブランドにも広く採用され、世界的なファッション業界を支える存在となっています。

その一方で、尾州産地の認知度は国内ではまだ十分とは言えません。
そこで、毛織物の普及を目的とした「ひつじサミット」や「ツイードラン」などのイベントが開催され、さらなる認知度向上を目指しています。

また、テキスタイルマテリアルセンターでは若手のデザイナー育成にも力を入れており、大阪万博のユニフォームを手掛けたデザイナーもここで学んだ経歴を持っています。

視察を終えて

今回の視察を通じて、テキスタイルマテリアルセンターが日本の毛織物産業の発展において重要な役割を果たしていることを改めて実感しました。
日本全国の毛織物の素材を集積し、世界的に注目される施設であること、そして若手育成や技術継承にも取り組んでいることは非常に素晴らしい取り組みです。

しかし、この素晴らしい施設がまだ十分に認知されていないことは「もったいない」以外の何物でもありません。
今後は、この施設を羽島市の観光産業や教育に結びつけることで、地域の活性化にも寄与できるのではないかと思います。

また、毛織物の技術や素材サンプルは服飾業界だけでなく、建設やエクステリアなど他分野への応用も可能です。
お話しの中で、織物の柄や流行をインテリアデザインに活かすなどの事例もあったとのことでした。
このように異業種との連携を進めることで新たなビジネスチャンスが生まれるかもしれません。

世界三大毛織物産地の一つである「尾州」というブランドをさらに活用し、羽島市の魅力として発信していくことが重要だと感じました。

今後もこのような貴重な産業資源を最大限に活かし、地域の発展に貢献できるよう努めてまいります。本日は、貴重な機会をいただき誠にありがとうございました。

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